用心、用心 (自戒)

主人公に感情移入できない。という問題があったとして、
それは主人公がおろかだから? 主人公がもっとよくできた行動をしていれば、感情移入できる?
……かというと、そういうわけでもない。

物語の始まりに、主人公が間違いを犯すことはごく普通で、私たちが洋画をみるたびにわりとキッチリ行われている。
主人公(または主人公をとりまく環境)が持っている問題を見せておくことは、むしろ「その先を見たい」という気持ちを作り出すために有効に働く。
主人公が間違いを犯していて、読み手(観客)がそれを間違いだと気付いていても、それ自体で読み手(観客)が主人公を嫌うというわけではない。
悪い仕事や暴力などに手を染めている場面から話が始まるヒーローなんて、山ほどいる。

大事なのは、それでもその主人公に同情できること。

そもそも主人公は正しい判断ができなくても仕方がないほどに酷い状況下にあるなど、
間違いを犯してしまう状況に、やむを得ないという説得力があること。
または、その間違いによって、直後、主人公がかなり酷い目にあうということ。
根は悪いやつじゃないということを早めに示しておくこと。

それらを冒頭でやり損なうと、このバカがこの先どうなっても知ったことじゃない、好きにしてくれ、
と思われる新たな主人公が生まれてしまう。

用心、用心。